
Strudel
“ストゥルーデル”
私が初めてこの言葉を耳にしたのは修行時代にお世話になったリストランテの厨房でした。
そこはかれこれ20年ぐらい前、イタリアのトレンティーノ・アルト・アディジェ州で北イタリアの伝統料理である手打ちパスタやジビエ料理を学ぶため働いていたリストランテ。
イタリアではレストランはファミリー経営がほとんど。
ある日のお店の休み時間、厨房の奥にあるドルチェ場にテニスボールぐらいの大きさの丸い生地を手で伸ばしている、シェフの奥様でパティシエのダニエラの姿が見えました。
近づいていくと彼女はそのピザ生地の様な物を手の甲で回転させながら、どんどん空中で伸ばしていき、
あっという間に大きな布のひいてあるコールドテーブルいっぱいの大きさに伸ばしてしまったんです。
その姿は、小柄なダニエラが少し背伸びをしながらテーブルにクロスをかけているかのようでした。
生地は透けるほど薄いのに穴ひとつあけずに伸ばす光景は、正に美しい職人技。
圧倒された私の心に“絶対にこの技を盗みたい”という強い炎を灯しました。
そしてダニエラはその上に手際よくシナモンで味つけしたリンゴとクルミ・レーズンをしきつめて、
下の布をひっぱるように生地をクルクルっと巻き上げバターをたっぷりぬってオーブンへ。
しばらくして彼女はオーブンからストゥルーデルを出し丁寧にバターをぬり直して再度オーブンへ入れながら
「こうするともっと美味しくなるのよ。」「私も祖母から教わったの。でも祖母は薪のオーブンで焼いていて現代のオーブンで焼くより数倍美味しかったの!」と自慢げに言いました。
トレンティーノ・アルト・アディジェ州が、かつてオーストリアの支配下にあり食文化にも大きな影響を及ぼしていた事。
それが郷土料理としてこの土地に根づいている事。
ストゥルーデルとはドイツ語で巻くという意味があり、今ではこの土地の大切な郷土菓子である事。
ダニエラは焼きあがりまでの時間、遠い日本からひょっこりやってきた私にストゥルーデルの小さな物語をたくさん語り、そして、焼き立てのストゥルーデルを差し出してくれました。
ほんのり温かいストゥルーデルを口に入れたその時の感動は今でも忘れていません。
アップルパイでもなくタルトでもない新しい食感。
“ストゥルーデルの小さな物語”を大切に心の引き出しにしまいつつ、
日本中の皆様に北イタリアの郷土菓子“ストゥルーデル”の変わらぬ美味しさと感動をお届けするため、
毎日心を込めて作っています。

Trattoria L’astro
Chef 仲田 睦
パイ生地を手作業で限りなく薄く伸ばし、リンゴやレーズン、クルミ、シナモンをロール状に包んで焼き上げました。
カートに進みいただき、下の備考欄に希望到着日をお書きください。 * 天候や交通事情によりお届けが遅れる場合がありますのでご了承ください。

- お召し上がりになる前日(12時間前が目安)に冷蔵庫へ入れ、ゆっくり解凍する。
- オーブンシートの上にストゥルーデルを乗せ、オーブントースターでカリッとなるまでおよそ2~3分程度焼く。※焦げないように注意する。
シュガーパウダーをふり、バニラのジェラートを添えれば、トラットリア顔負けのドルチェが完成です!
- 原材料・賞味期限等はギフトボックスの底面に記載してあります。
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